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名古屋市緑区で計画中のこの敷地は
間口が限られた狭小地で、形も素直ではありません。
道路との間にははっきりとした高低差があり、敷地調査の段階から
平面的な発想だけでは答えにたどり着けない場所だと感じていました。

いまは、敷地調査を終え、プランニングに集中している段階です。
高低差をどう扱うか、変形した敷地の輪郭に、空間をどう沿わせていくか。
条件を一つひとつ整理しながら、暮らしとして無理のない断面を探っています。
緑区の住宅地は、建物同士の距離が極端に近いわけではなく
視線の逃がし方次第で、空や緑を取り込む余地があります。
今回の敷地でも、正面からではなく、斜め上や奥方向に目を向けると
意外なほど抜けのある方向が見えてきました。

その「抜け」をどう室内に引き込むかが、プランの軸になっています。
構造について特別に意識する場面は、実はそれほど多くありません。
必要な強度が確保されていることを前提に、どこを開き、どこを閉じるか。
床の高さをどう変え、空間同士をどうつなげるか。
そうした判断を、設計の流れの中で、ごく自然に積み重ねていきます。
たとえば、道路側は落ち着いた表情とし、少し高い位置からやわらかな光を取り込む構成。
あるいは、高低差を利用して、ワンフロアの中に緩やかなレベル差を設け
視線と気配がつながる空間にする。
狭小地であっても、窮屈さを感じさせないための工夫は、断面の中にこそあります。
用途地域や高さ制限といった条件も、このエリアでは避けて通れません。
だからこそ、ボリュームを追うのではなく、空間の質を丁寧につくる。
その積み重ねが、結果として、この土地にふさわしい住まいにつながっていくと考えています。
まだ、この家は完成形ではありません。
図面の中で、何度も線を引き直しながら、敷地のクセを「個性」に変えていく途中です。
完成したとき、この高低差や変形が、この家の静かな魅力として感じられるように。
そんなことを思い描きながら、今日もプランを練っています。
通気層の弱点
2025.12.19
