owner’s voice vol.6
voice -オーナー様の声- vol.6
マンションリノベーションで
叶えた、
自分らしい暮らし
既存マンションの制約を読み解き、
kotoriが導いた住まいのかたち
今回訪問させていただいたのは、名古屋の都心にほど近く、それでいて落ち着いた時間が流れる閑静なエリアに建つマンション。その一室をkotoriがフルリノベーションしました。
開放感あふれるSE構法の木造住宅というイメージが強いkotoriが、“マンション”でどんな空間を生み出したのか———。取材前から自然と期待が高まります。

玄関に足を踏み入れるとすぐ、高層階ならではの伸びやかな眺望が目に飛び込んできました。
というのも、エントランススペースと居住空間を隔てているのは、大きな強化ガラスの引き戸。視界を遮るものはなく、エントランスにいながら外の景色が自然と目に入る設えです。
この日は天候にも恵まれ、隣接する庭園の豊かな緑と、堀川の穏やかな流れが一望できました。思わず感嘆の声が漏れてしまいます。
室内は、ほぼ仕切りのないワンルーム空間。足元にはタイル張りの床が広がり、空間の中心には存在感のあるアイランドキッチンが据えられています。「マンション」という枠を超えた、のびやかで静かな空気が漂っていました。
ここで愛犬とともに暮らしているのが、今回のオーナー様。
「ここが“最後の住まい”だと考えるからこそ、自分の好きな空間に」と語り、信頼を寄せるkotoriの代表建築家・今泉に、ほぼ”お任せ”でリノベーションを依頼されました。
間取りの制約を超えて、
ひとつながりの空間へ

マンションは、基本的に間取りが決められた住まいです。住む人は、その枠組みの中に暮らしを当てはめていくことになります。
オーナー様は以前の住まいも分譲マンションで、決められた間取りの中で、「使わない部屋が出てきてしまう」「空間がもったいない」
そんな違和感を抱いていたといいます。

オーナー様
「だからこそ、”いらない部分”を全部取り払って、間取りそのものをガラッと変えてもらいました。
今回のマンションは元々よくある2LDKの間取りで、廊下が長く取られていました。
その廊下をなくして居室を広げて、開放感のある空間にしたいと思って。
結果的に、無駄なスペースがなくなって、空間が広くなり、居心地がとても良くなりました。」
既存の間仕切りをすべて取り払うことで、空間はひとつにつながり、
ベランダ側の大きな窓から差し込む自然光が、部屋全体をやさしく包み込みます。

もっとも、マンションのリノベーションは制約も多いもの。
実際に解体してみると、配線、配管、ダクトの位置など、マンションという既存躯体での工事には制約が多く、難問がたくさんあったとのこと。
それでも、「難しければ難しいほど、楽しくもある。」と今泉は言います。これも今泉の豊富な経験があってこそ。
既存の条件を読み解き、可能性を見出し、最適解を導く。
この住まいには、今泉の経験と設計力が随所に息づいています。
暮らしの中心に据えた、
開放的なキッチン

この住まいを象徴する存在とも言えるのが、オーダーメイドのアイランドキッチン。
空間のほぼ中心に据えられ、自然と人が集まり、暮らしの動線がここを起点に広がっていきます。
ワークトップや水栓金具、素材や色の組み合わせに至るまで、すべて今泉が細部まで吟味して選定。
意匠性と使い勝手、そのどちらも妥協することなく設計されています。
四方すべてが収納となったキッチンは、食器や調理道具、調味料までをすべて収めても、なお余裕のある大容量。
生活感を抑えつつ、日々の動作がスムーズに完結するよう考え抜かれています。

オーナー様
「もともと料理は好きなんですけど、ここに来てから使い勝手がとてもよくて、キッチンに立つのが今まで以上に楽しくなりました。」

アイランドキッチンの広いワークトップは、調理・盛り付け・配膳までを一連の流れで完結させる役割を担います。キッチンとダイニングが一体となったような感覚が、日常の家事を軽やかな時間へと変えてくれます。
さらに、ワイン好きのオーナー様が喜ばれたのが「EuroCave」のワインセラー。
プロのソムリエにも愛用者が多いこのワインセラーは、機能性と美しさを兼ね備え、キッチン空間のアクセントとしても存在感を放っています。
機能と美しさ、そして“使う楽しさ”。このキッチンには、今泉の設計思想と、オーナー様の暮らしが重なり合ったkotoriらしい住まいづくりが凝縮されています。
庭園を眺めながら過ごす、
特別なバスタイム

オーナー様が「特にこだわった場所」として挙げたのが、このバスルームです。
大きな窓の先には、隣接する庭園の緑と堀川の穏やかな流れ。
時間帯や季節によって表情を変える景色を、湯に浸かりながら眺めることができます。
バスタブは、空間の幅いっぱいに合わせて設えたオーダーメイド。
ゆったりと身体を預けられるサイズ感で、視線は自然と窓の外へと抜けていきます。
天井からやわらかく降り注ぐオーバーヘッドシャワーも、日常を少し特別な時間へと変えてくれる存在です。
洗面・脱衣スペースと浴室を隔てるのは、あえて閉塞感をつくらないガラスの間仕切り。
光と視線が通り抜けることで、バスルーム全体に開放感が生まれ、
まるでホテルのスイートルームのような、非日常感のある空間に仕上がっています。

オーナー様
「どうしても、庭園を眺めながらお風呂に入りたくて。
一日の終わりにここで過ごす時間は、本当にゆっくりできて、至福のひとときです」

洗面スペースもまた、kotoriによる造作家具。
引き出しや扉にはあえて取っ手を設けず、すっきりとした佇まいにまとめられています。
オーバーカウンター式の洗面ボウルと、デザイン性の高い水栓金具が静かに存在感を放ち、機能性と美しさを両立した、上質な日常空間を形づくっていました。
閉じすぎず、開きすぎない寝室
という選択

大空間の中に浮かび上がる、やわらかな曲線の造形。その内側に設えられた寝室は、喧騒から切り離された“静寂の領域”です。アール壁は単なる間仕切りではなく、空間の質を高めるための彫刻的存在。住まいの中に、ホテルスイートのような私的領域を内包するそんな贅沢を、さりげなく実現しています。
オーナー様
「普通なら天井までの壁で区切って個室にするところを、丸く囲うような“ゆるい仕切り”にしてくれたんです。
ひとつの大きな空間の中に、小さな秘密の空間があるみたいな感じ。」

このR仕上げの壁は、クロスではなく職人の手による塗り仕上げ。
日差しの入り方や時間帯によって、光の表情が変わり、空間に静かな奥行きを与えています。
閉じすぎず、開きすぎない。
プライベートと開放感の絶妙なバランスもまた、kotoriらしい設計だと感じました。
オーナー様に聞く、
住まいづくりのこと
完成した住まいについて、オーナー様にお話を伺いました。マンションリノベーションを選んだ理由や、kotori・今泉に設計を託した想い、そして実際の暮らし心地について、率直な言葉で語っていただきます。

マンションをリノベーションしようと思ったきっかけを教えてください。
以前も分譲マンションに住んでいたのですが、既存の間取りにはどうしても制約が多くて、「決められた形の中で暮らしている」という感覚が強かったんです。
引っ越しを考えた際に新築マンションも検討しましたが、やはりどこも完成された間取りで、自由度は高くありませんでした。
次に住むなら、もっと自分の想い通りにしたい。そう考えて、最初からリノベーションを前提に物件を探し始めました。
新築よりも価格を抑えて中古マンションを購入し、その分リノベーションにしっかりお金をかけた方が、自分にとっては心地よく暮らせるのではないかと思ったんです。

今回のリノベーションは、kotoriの代表・今泉にほぼ「お任せ」だったそうですね。
はい。今泉さんとは元々お知り合いで、リノベーションを決めた時点ですぐに相談しました。
もちろん、「ただの知り合い」だったらお願いしていません。今泉さんの人柄やセンスを十分に知っていたからこそです。もう長いお付き合いなので、私の好みやライフスタイルもよく理解してくれていて。
「広くしたい」「廊下をなくしたい」といった大まかな希望だけ伝えて、あとはすべてお任せしました。
kotoriの事務所や岡崎スタジオ、今泉さんのご自宅も拝見したことがあって、「今泉さんなら全部任せられる」と思えたことが大きかったですね。
完成した住まいを初めて見たときの印象はいかがでしたか?
工事中も現場を見ておらず、引き渡しの日に初めて全体を見たんですが、まさに自分好みの仕上がりで、思わず「わぁ……」と声が出てしまいました。
「こんなに変わるんだ」という驚きと同時に、「ああ、今泉さんらしいな」という納得感があって。
信頼していたので「きっと素敵にしてくれるだろう」とは思っていましたが、それでも期待以上でした。

リノベーションにあたって、どんな暮らしをイメージされていましたか?
理想は、とにかく「快適」で、「家にいたくなる家」。家にいる時間を、ちゃんとくつろいで過ごせることが一番でした。キッチンの流しひとつでも、使うたびに気分が上がるようなものにしたくて。
「ここにいると落ち着くな」と思える空間にしたかったんです。
キッチンや床にも、こだわりが感じられますね。
キッチンは、本当に「お任せしてよかった」のひと言です。
正直、こんなキッチンがあるなんて知りませんでしたし、ワインセラーを入れてもらえたのもすごく嬉しかったです。
床のタイルは私の希望です。夏は裸足で触れたときの感触がとても気持ちいいですし、犬の足音も気にならないように工夫してくれています。
そういう細かい配慮がkotoriだなぁと思います。

この家の中で、特にお気に入りの場所を教えてください。
正直、全部なんですけど……(笑)
やっぱり一番はキッチンですね。日々の暮らしの中で、キッチンに立つ時間って長いじゃないですか。
だから、料理が楽しくなるかどうかは、とても大事だと思うんです。
このキッチンは、使い勝手の良さはもちろんですけど、シンク側からの眺めが最高なんです。
壁に向かって料理するのではなく、開けた景色を見ながら料理できるのは、本当に気持ちがいいですよ。
お気に入りの空間って、自然と大切にしたくなるものですよね。
ここで過ごす時間そのものを、楽しもうと思えるようになりました。
ご友人が遊びに来られたときの反応はいかがですか?
とても評判がいいです。
友人を招くと、キッチンの広いワークトップに料理を並べて、みんなでつまみながら飲んでいます。キッチンとテーブルが一体になったような感覚ですね。ゆっくりしたい人はソファに移ったり、それぞれ思い思いに過ごしています。
ホームパーティーをすることも多いのですが、自然と人が集まる、居心地のいい家になったと思います。

照明や家具にも、統一感がありますね。
照明も家具も、すべて今泉さんにお任せしました。
arflexのソファは、見た目だけでなく本当に居心地がよくて、愛犬の定位置にもなっています。
壁面に造作収納をたくさんつくってもらったので、いわゆる収納家具はほとんど持ってきていません。
作り付け収納のおかげで部屋も広く見えますし、収納家具を選ぶストレスからも解放されました。
これからマンションをリノベーションしようと考えている方へ、アドバイスをお願いします。
まずは、自分の「好み」や「本音」を、設計士さんにきちんと伝えることだと思います。
遠慮せず、「ここはこうしたい」というポイントを、ひとつでもはっきり伝えることが大切ですね。
家の中を少し変えるだけでも、暮らしの気分は本当にガラッと変わります。引っ越さなくても、新しい生活が始まる感覚がありますから。
だからこそ、信頼できる設計士さんに出会って、自分の希望をきちんと共有すること。
しっかり対話ができて、お互いに信頼できる関係で進められれば、満足度はとても高くなると思います。

最後に、今回のリノベーションを振り返って、今の想いを聞かせてください。
人生も後半に入ってきて、残りの時間を「自分の好きな空間で過ごしたい」と思うようになりました。
今まで一生懸命働いてきた、自分へのご褒美のような気持ちもあります。
若い頃は、「とりあえず寝られればいい」という感覚でしたが、家で過ごす時間が増えた今は、居心地の良さが何より大事になりました。
ここは、まさに理想の形になった住まいです。居心地がよくて、長く住める“終の棲家”。
本当にいい家に仕上がって、今泉さんには心から感謝しています。
この住まいには、オーナー様の人生と、
それを丁寧に受け止め、かたちにした今泉の設計が、静かに重なり合っています。
とても素敵なお話を伺うことができました。ありがとうございました。