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断熱のもう一つの答え

2025.09.25

こんにちは。

断熱材を選ぶ際、多くの人は熱の通しにくさ

つまり熱伝導率(λ)ばかりに注目しがちです。

しかし、実際の住み心地を左右するのはそれだけではなく

材料の「熱容量」にも大きく関係します。

熱容量は比熱容量(c)と密度(ρ)の積で表され

数値が大きいほど熱をため込み、ゆっくり放出する力があることを意味します。

さらに建築の分野では「熱拡散率(λ/ρc)」という指標も重要です。

これは熱がどれだけ早く伝わるかを示す値で

低いほど熱の伝わり方が遅く

夏の昼間に受けた熱が室内へ届くタイミングを遅らせる効果があります。

言い換えれば、熱拡散率が小さい断熱材ほど

昼間の暑さを夜に持ち越さずに済み

室内を安定した環境に保てるのです。

この観点から見ても、木繊維断熱材は非常に優れています。

密度が高く、比熱容量も大きいため、熱容量が大きいだけでなく

熱拡散率が小さいという特長を持っています。

そのため夏は日射の影響を吸収してゆっくり外へ逃がし

冷房効率を高め、冬は蓄えた熱を穏やかに放出して快適さを保ちます。

さらに調湿性や自然素材としての安心感もあり

単なる断熱性能の数値を超えて、実際の住み心地に直結する効果をもたらしてくれます。

断熱材を比較する際には、熱伝導率だけでなく

熱容量や熱拡散率といった視点を持つことが大切です。

こうした観点から考えると、日本の気候において木繊維断熱材は非常に理にかなった選択肢であり

設計士としておすすめできる素材のひとつです。

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