Loading...

staff blog

台風と構造

2025.10.14

台風が近づくたび、あの重たい空気の圧を感じます。

風がまだ穏やかでも、どこか遠くで海が荒れている気配がする。

実はその“重たさ”こそ、台風の力を表す気圧の低さによるものです。

気圧が下がるというのは、空気の重さが軽くなり

周囲から猛烈に空気が流れ込むということ。

その空気の流れが、やがて渦を描きながら巨大なエネルギーを作り出していきます。

気圧が1ヘクトパスカル下がるごとに

風の速さはおよそ0.5メートル毎秒ずつ上がると言われます。

数字は小さくても、体で感じる風の圧力は想像以上。

中心気圧が930ヘクトパスカルを切るような台風になると

風は建物の隙間を探すように吹き抜け、ほんの小さな継ぎ目にも容赦なく雨を押し込みます。

そんな自然の力に向き合うとき、私たちは「構造」という見えない骨格を思います。
SE構法は、木のぬくもりをそのままに、鉄骨のような精度と強度を備えた構造体。

柱と梁を金物で確実に接合し、地震にも台風にも揺るがない安定をつくり出します。

大開口や大空間のある邸宅であっても、風を受け止め

力を逃がす仕組みが隅々まで行き届いている。

構造の静かな頼もしさが、暮らしの安心を支えています。

台風の前の日は、排水口の詰まりを確かめたり、雨戸を閉めたり。

ほんの少しの備えが、大きな安心につながります。

自然の力を止めることはできませんが、共に生きる工夫はできます。

家が“避難所”ではなく、“守ってくれる居場所”になるように。

そんな願いを込めて、今日も図面に向かっています。