Loading...

imaizumi blog

「余白という贅沢」

2026.03.25

古民家カフェ『間坊』に見る日本建築の美学

 

 蒲郡・カフェ間坊に見る、日本建築の静かな設計思想 

愛知県蒲郡市にある「カフェ間坊」を訪れました。

 

 

まず印象的なのは、建物の前に広がる石庭です。
大きな自然石が配置され、白砂の曲線がその周囲を静かに包む。

庭というより、空間の“呼吸”を整える装置のようにも感じることができます。

建物は瓦屋根の落ち着いた佇まい。
派手さはないが、プロポーションが美しい。屋根勾配、軒の出、外壁の抑えた色彩。

すべてが控えめでありながら、確かな存在感を持っている。

日本建築の魅力は「主張しない設計」の中にある品格だと思う。

 

 

障子越しの光がつくる空間の奥行き

建物の中に入ると、まず目に入るのは障子。

外の光を柔らかく受け止め、室内に均質な明るさをつくり出している。

ガラスの透明な光とは違い、時間をゆっくりと流す光です。

障子越しに庭石が見える。その距離感がとても良い。

外と内の境界を曖昧にすることで、空間の奥行きが生まれている。

これは現代住宅でも非常に大切な考え方です。

大きな窓を作ることだけが外とつながる方法ではない。

光をどう扱うか。
視線をどう制御するか。

それによって、空間の質は大きく変わるのではないでしょうか。

 

 

木の質感がつくる安心感

内部の廊下に立つと、木の天井、木の建具、木の床。

素材が素直に使われている。

特に印象的なのは、障子と木格子がつくるリズム。

構造材が過剰に見えるわけでもなく、装飾に頼るわけでもない。

素材そのものの力で空間を成立させている。

これは、住宅設計においても非常に重要なことです。

高価な素材を使うことだけが豊かな空間を生むのではないと思う。

素材をどう配置するか。どう光を受け止めるか。

そこに設計者の思想が表れる。

 

“間”という贅沢カフェ間坊という名前の通り、
この建築の魅力は「間」にある。

石庭の余白、障子越しの光、畳の空間
静かな廊下すべてが急がない。

この余白こそが、贅沢なのだと思う。

 

 

 

現代住宅に必要なもの住宅設計の現場にいると、自然と性能や設備の話が多くなる。

もちろんそれは大切であるが、

しかし本当に豊かな住まいとは、数字だけでは決まらないと思っています。

光の入り方、素材の触感視線の抜け
そして、空間の「間」。

これらが整った時、
住宅は単なる建物ではなく「時間を楽しむ場所」になる。

カフェ間坊を歩きながら、改めてそう感じた一日でした。