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春の柔らかな光が、スタジオの打ち合わせテーブルに落ちる午後。
先日、新しい住まいづくりの第一歩となる「ファーストプレゼン」を行いました。

今回のご依頼主は、お料理とお酒を心から愛するK様。
お話を伺う中で浮かんできたキーワードは、『行き過ぎた家呑み』という少し遊び心のあるコンセプトです。
単に食事をする場所を作るのではなく、まるでお気に入りのビストロに友人を招き入れるような、あるいは旅先のオーベルジュで羽を伸ばすような。
そんな、日常の延長線上にある最高の贅沢を形にしたいと考えました。
計画地は、目の前に清々しい田園風景が広がり、その奥には穏やかな山並みを望む素晴らしいロケーションです。
この豊かな眺望を、いかにして室内の「彩り」として取り込むか。
私たちは、ダイニングテーブルに座った時の目線の高さ、キッチンに立った時の視線の抜け、そしてグラスを傾ける手元の光の加減まで、ひとつひとつ丁寧にシミュレーションを重ねました。
提案したのは、季節ごとに表情を変える風景を、一幅の絵画のように愉しめる空間です。
日が沈み、刻一刻と表情を変えるマジックアワー。
遠くの山影を眺めながら、まずは日本酒で乾杯する。
キッチンからは、旬の食材が焼ける芳醇な香りが漂い、弾む会話が空間をよりいっそう豊かにしていく。
そんな情景が目に浮かぶような、五感に深く訴えかける住まい。
プレゼン中、図面と模型をじっと見つめていたK様ご夫妻の表情が、少しずつ綻んでいく瞬間。
設計士として、これほど嬉しいことはありません。
言葉で飾る「贅沢」ではなく、そこで過ごす時間の質そのものが高まっていくような。
感性が静かに満たされる家づくりが、今、ゆっくりと動き出しました。
景色を、隠し味に。
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