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家の外壁の中には、普段は見えない「通気層」と呼ばれる空間があります。
外壁材と防水シートの間につくられる、わずかな空気の通り道です。
湿気を逃がして外壁の耐久性を高めるために、多くの家で採用されてきたごく一般的な仕組みです。
ところが最近、この“通気層”が火災時に思わぬ危険を生むことがわかってきました。
外壁の一部が炎で破られると、その隙間から火が通気層に入り込み
そこを縦方向へ一気に駆け上がるのです。
いわゆる「煙突効果」と呼ばれる現象で、通気層がそのまま“炎の通り道”になってしまいます。
実際の火災調査でも、通気層に火が入ったことで、外壁内部を高速に延焼し
短時間で軒裏や屋根裏まで燃え広がった例が報告されています。
小さな出火でも、壁の中では想像以上のスピードで広がってしまう。通気構法の持つ大きな弱点です。

では、通気層をつくらずに外壁を仕上げる方法はあるのか。
その答えのひとつが「木繊維断熱材」を使った外張り断熱です。
木繊維断熱材は、もともとヨーロッパで普及してきた自然素材の断熱材で
火が当たると表面がゆっくり炭化して内部へ燃え広がりにくいという特徴があります。
溶けて滴り落ちたり、有毒ガスを大量に発生させることもほとんどありません。
燃えにくく、燃えても安全性が高い素材といわれています。
しかし、それ以上に大きな違いがあります。
木繊維断熱材の外張り工法では、断熱材の上に「透湿モルタル」を直接塗って外壁を仕上げます。
つまり——そもそも通気層をつくらない構造になります。

通気層がなければ、火が走る“空間”が存在しません。
一方で、木繊維断熱材自体が湿気を通すため、従来の通気構法のように
壁内に空気の流れをつくらなくても、湿気が自然に外へ逃げていきます。
「湿気を逃がしたい」「でも通気層による火災リスクは避けたい」という、相反する条件を両立できるのです。
外壁は普段触れることはありませんが、住まいの安全性を大きく左右する部分です。
通気層のある構造にはメリットもありますが、火災時には弱点に変わる可能性があります。
木繊維断熱材の外張り工法は、その弱点を根本的に取り除きながら、家の快適性や長寿命にも貢献してくれる方法です。
自然素材の心地よさを感じられるだけでなく、構造としての安全性にも優れた家づくり。
そうした住まいをこれから検討される方には、木繊維断熱材を使った断熱という選択肢をぜひ知っていただきたいと思います。
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