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imaizumi blog

秋野不矩美術館に見る「構造と思想」

2026.03.11

浜松市天竜区。
山の斜面に、まるで大地から生えてきたかのような建築がある。

 

 

秋野不矩美術館。
設計は、建築史家であり建築家でもある 藤森照信 氏。

初めてこの建築を目にしたとき、私は
「建物というより、むしろ思想である」と思いました。

屋根は木のシングル。
外壁は土の質感を残した荒々しい塗壁。
柱には丸太。現代建築の多くが「均質さ」を追求するのに対し、
この建築はむしろ不均質さを肯定していて素材そのものが建築となっているように感じました。

 

 

 

 

 

 

 

内部に入ると、空間は意外なほど理性的で、特に塗り壁や木の格子天井。
光を落とすトップライト。

ここには藤森氏の特徴でもある原始性と合理性の共存があるようにも感じました。

荒々しい外観とは対照的に、内部空間は極めて計算された構成で組立てられていて、
「この建物の骨格はどうなっているのか」を考えさせられるようでした。

美しい建築は例外なく、構造が美しい。

これは住宅でも同じではないでしょうか。

美しい家は、構造から生まれる

住宅を建てるとき、多くの方が最初に考えるのは

デザイン、間取り、設備

ですが、本当に重要なのはその家を支える構造の思想だと思っていて

なぜなら、構造は建物の品格を決めるからです。

弊社が採用している耐震構法SE構法はまさにそこにあります。

SE構法は木造でありながら構造計算を行い、建物全体をフレームとして設計する構法です。

耐震性能、空間の自由度、長寿命化

この3つを同時に成立させています。

言い換えるなら、構造そのものが設計思想になる構法です。

 

 

そして秋野不矩美術館を見ていると、あることに気づきます。

この建築は、時間が経つほど良くなるように作られている。

木は焼け、土壁は風化し、建物は周囲の森と同化していく。

これは住宅でも同じと考えていて

本当に良い家とは、完成した瞬間がピークではないと思います。

10年後、20年後、30年後と、時間とともに美しくなる家です。

そのためには構造がしっかりしていなければならない。

だから私は、住宅の設計において構造を最初に考えるようにしています。

 

そして最後にもう一つ、秋野不矩美術館は、決して派手な建築ではありません。

しかし建築を理解している人ほど、この建物の価値に気づきます。

それはきっと見えない部分に思想があるからだと思います。

住宅も同じです。

外観の美しさだけではなく、その家の骨格にどんな思想があるのか。

そこにこそ本当の価値が宿ります。

もしこれから家づくりを考えているなら、
ぜひ一度、建築を構造の目線で見て見ていただきたいです。

きっと、今までとは違う建築の見え方が生まれるはずです。

そしてその視点は、住まい選びの質を確実に高めます。