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小さな化学反応

2025.11.07

無垢材は、住まいに自然のぬくもりと豊かな表情をもたらしてくれます。

その一方で、日々の暮らしの中でふと気づく「黒ずみ」や「まだらなシミ」。

これらの原因のひとつが、アルカリ反応による変色です。

木材に含まれるタンニンなどの成分が、アルカリ性の物質と反応して黒く変色する現象で

特にオークやウォールナットなどの樹種で見られます。

たとえば、床を拭く際に洗剤が残ったり、モルタルやコンクリートの粉が触れたりすることで

アルカリ分が木材に移り、時間の経過とともに反応が進んでいくのです。

このような変色は「汚れ」ではなく、木そのものが化学的に反応した結果。

適切な処置をすれば、美しい木肌を取り戻すことができます。

おすすめの方法が、クエン酸を使った中和です。

クエン酸はpH2程度の弱酸性で、アルカリに傾いた木の表面をやさしく中和し、変色を和らげます。

方法は簡単で、クエン酸小さじ1を水100mlに溶かし、柔らかい布に含ませて軽く絞り、変色部分をやさしく拭きます。

数分おいてから清潔な水拭きで仕上げ、最後に乾いた布でしっかり水分を拭き取ってください。

一度で効果が出にくい場合は、数回に分けて行うのが安心です。

クエン酸は天然由来で安全性が高いとはいえ、酸性が強いため

濃度を上げすぎないこと、長時間放置しないことが大切です。

作業前に目立たない場所で試すと安心です。

また、日常のお手入れでの予防も重要です。

洗剤は中性のものを使い、拭き掃除の際は洗剤や水分を残さないように。

新築直後は、モルタル粉やアルカリ分を含むホコリが木部に触れないよう注意します。

無垢材は、時を重ねることで表情を変え、住まう人とともに育つ素材です。

多少の変化も、暮らしの歴史として美しく重ねていけるよう、正しい知識で丁寧に向き合うこと。

それが、永く心地よい木の住まいを保つ何よりの秘訣です。