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こんにちは。
住まいの中で過ごす時間の経過には、不思議なやさしさがあります。
新築のときは白く凛とした壁も、数年経つと陽射しに少しずつ色を変え
そこに積み重なった暮らしの跡を映し出します。
床の木目は歩くたびに艶を増し、椅子の脚がよく触れる場所には
日常の小さな痕跡が刻まれていきます。
そうした変化は決して劣化ではなく
暮らしと住まいがともに年を重ねている証のように感じられるのです。
朝の光はやわらかく、窓辺を白く照らし、やがて昼には濃く力強い影を落とし
夕方には淡く伸びるオレンジ色が部屋全体を包み込みます。
その移ろいを毎日繰り返し目にしながら、私たちは時間の流れを身体で感じ取っています。
季節が変われば風の通り道や音も変わり、春の芽吹きのにおいや
秋の落ち葉が舞う気配も、家の中にそっと忍び込んできます。
住まいとは、単なる器ではなく、外の自然とともに時を刻み続ける舞台なのだと気づかされます。
そこに暮らす人の人生もまた、同じリズムで流れています。
子どもの成長に合わせて部屋の役割が変わり
ダイニングテーブルには家族の会話が重ねられ、やがて静かな時間へと移り変わる。
住まいはその変化をやわらかく受け止め、どんな瞬間も記憶として積み重ねていきます。
何も変わらないように見える壁や床も、実はそのすべてを覚えているかのように
暮らす人の時間を抱きしめてくれるのです。
時間の経過は、ときに切なさを伴いますが、その分だけ深みと温かさを住まいに与えてくれます。
新しさだけでは手に入らない落ち着きや安心感は、年月を重ねることでしか育まれないもの。
だからこそ、住まいとともに過ごす時間は、人生に寄り添うかけがえのない風景となり
やがてその家を唯一無二の居場所にしてくれるのです。
食事
2025.09.02