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こんにちは。
夏の午後、窓辺に広がる葉影を眺めていると、まるで家そのものが森の一部になったような心地がします。
木々の葉が風に揺れるたび、光は細やかな模様となって床や壁に踊り
その動きはまるで水面のきらめきのようにやさしく空間を包み込みます。
真っ直ぐに差し込む強い日差しも、葉を透かしてこぼれるとき
どこか柔らかく人の気持ちに馴染んでいくのです。
葉影には時間の流れが映し出されています。
朝は澄んだ光に小さな揺らぎが重なり、昼は濃く力強い影がはっきりと形を描き
夕方になると淡くぼやけた揺らぎが静けさをまといます。
その移ろいを見つめているだけで、心は少しずつ解きほぐされ
自然と呼吸もゆったりとしてくるのです。
家の中に居ながらも、森の中にいるような安らぎが訪れるのは
葉影が自然と建築をやわらかくつなげてくれるからでしょう。
また、葉影は人の記憶にもそっと寄り添います。
子どもが畳の上で昼寝をしているとき、ゆらゆらと揺れる光が頬を照らす情景は
何気ない一日のひとこまながら、心に深く刻まれていきます。
食卓の上に落ちる木漏れ日が料理を美しく見せ、語らいの時間をさらにあたたかくすることもあります。
光と影が織りなすこの自然の装飾は、どんな高価な家具や装飾にも勝る豊かさをもたらしてくれるのです。
建築において葉影をどう取り入れるかは、窓の配置や庭木の選び方ひとつで変わっていきます。
大きな樹木を植えることで夏には涼やかな影を落とし、冬には葉を落とすことで光を受け入れる。
その循環の中で生まれる影は、住まいを季節とともに呼吸させる仕掛けでもあります。
葉影が揺れる家には、自然とともに暮らす歓びがあります。
それは光と影のはざまにある小さな美しさを見出す感性を育て
住まいに深い豊かさを与えてくれるもの。
そっと目を向けるだけで、毎日の風景が少し違って見えてくるのです。
時の経過
2025.09.03