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imaizumi blog

「料理のための箱」ではなく。

2026.01.24

北海道・美瑛に佇むレストラン bi.ble

北海道美瑛にて、、、


この建築を設計したのは、建築家 内藤廣 氏です。

内藤氏の建築に一貫して流れるのは、


建築を自己主張の道具にしない、という強い倫理観。


bi.bleもまた、その思想を極限まで純化した建築だと感じました。

ここには、説明的な造形も、過剰なディテールもありません。


あるのは、風景のスケールに正確に合わせられた輪郭と、


「建築は風景より前に出てはならない」という、内藤氏らしい明確な意思です。

水平に引き延ばされたプロポーションは、


美瑛の大地と空の広がりを分断せず、


建築を風景の一部として溶け込ませるための構造的判断にほかならないように思います。

昨今の住宅業界において、本質的に難しいのは、素材でも設備でもなく、


どこまで引き算ができるかという覚悟だと私は思います。

bi.bleの連続する開口部は、眺望を誇示するためのものではなく、


光の移ろい、季節の気配、時間の流れを


そのまま室内に引き込むための「装置」です。


内藤廣氏が長年問い続けてきた「建築は、土地とどう関係を結ぶべきか」というテーマが、


ここでは極めて静かに、しかし雄弁に表現されていると感じました。

この建築は、消費されるための建築ではなく、


繰り返し訪れ、時間を重ねることでしか理解できない、


住み手・使い手の感性を試し続ける建築ではないでしょうか。

これから家を建てる方へ。もし一見目を惹く「目立つ家」よりも、


「10年後、20年後に誇れる家」を望むのであれば、bi.bleは重要な示唆を与えてくれます。

真の豊かさとは、


どれだけ語るかではなく、


どれだけ語らずにいられるか。

内藤廣氏という建築家の思想は、そのことを、この静かな建築を通して私たちに問いかけています。

また先生にお会いできることを楽しみにしています。

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