imaizumi blog
構造がつくる、美の秩序
――プロソミュージアム・リサーチセンター 建築訪問記
設計:隈研吾
「木格子」構造から考える思想
愛知県春日井市に建つプロソミュージアム・リサーチセンター。
この建築を前にして、まず感じるのは“圧倒的な密度”です。
外観を覆う無数の木格子。
一見すると繊細で軽やかですが、決して「飾り」ではありません。
ここにあるのは、構造・環境・空間を同時に成立させる、極めて高度なシステムです。
美しさは、後から足されたものではなく最初から、構造の中に組み込まれているモノ。
それが、この建築の本質なのです。
隈研吾氏の建築には、一貫した思想があります。
それは、「素材を使う」のではなく、「素材と対話する」こと。
この建築において、木は単なる仕上材ではないと思います。
・荷重を分散する構造体
・日射と熱を制御する環境装置
・視線を整えるフィルター
・空間のリズムをつくる骨格
すべてを同時に担っています。つまりここでは、構造そのものがデザインであると思います。

この建築思想は、私たちが追求するSE構法とも深く重なると思っていて
SE構法の本質は、大断面構造によって生まれる圧倒的な耐震性と自由度。
地震に耐えうる、 可変性に優れている、耐久性に優れている、価値が落ちにくい。
これらを、すべて“構造”で成立させる。そして、その合理性を「そのまま美に変える」。
ここに、本物の住宅設計があります。

高級住宅と「高価な住宅」は違うと私は思っていて、
富裕層住宅の世界では、しばしば「価格=価値」と誤解されがちですが、本質は違います。
本当の高級住宅とは、
①設計密度が高い
②無駄がない
③理由のある形をしている
④時間に耐える
こうした条件を満たした建築だけが、“資産”として残っていくのです。
この研究施設は、まさにその完成形の一つではないでしょうか。
建築は「未来への設計」であってこの建築を見て改めて思いました。
建築とは、今日を美しくするためのものではなく、
10年後、30年後、50年後も誇れるための、
「未来への投資」だということ。
木格子の一つひとつに込められた思想は、そのまま、長寿命住宅の理想像につながっていると思います。
kotoriが目指す住まいと、この建築の共通点がここにあると感じました。
私たちkotoriが大切にしているのも、同じ思想です。
・構造から考える
・性能を隠さない
・合理を美に変える
・資産として残す
「自然とともに深まる住まい」とは、見た目だけの話ではありません。
時間とともに価値を増すこと。それこそが、本当の豊かさだと思っています。

プロソミュージアム・リサーチセンターは、単なる研究施設ではありません。
それは、これからの高級住宅の“教科書”のような建築でした。
強さ、美しさ、環境性能、資産価値
すべてを構造から成立させる。
「美しい家が欲しい」ではなく、「意味のある家を持つ」時代へ。
この建築は、その答えを、静かに示してくれています。
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