imaizumi blog
— みとゴルフ倶楽部にて**
豊川の丘陵地に広がるみとゴルフ倶楽部。
ここを訪れる度に感じるのは、
“豊かな時間とは、視界に映るものの密度で決まる” ということです。

今回目を奪われたのは、コース脇に佇む小さなモニュメント。
レンガの基壇に、幾何学的なコンクリートの塊が静かに据えられています。
その存在は決して主張しないのに、
風景の重心をわずかにずらし、場の空気を整える力を持っている。
建築家としてこの造形に惹かれた理由は、
“用途を想定しない造形の自由” と
“ランドスケープに生まれるわずかな緊張” にあります。
モニュメントは、座るためのベンチでもあり、
風景を読むための視点場でもあり、
ただそこに佇む彫刻でもある。
明確に定義されない曖昧さが、
この場所に深い余韻を与えています。
素材は素朴なコンクリートとレンガ。
しかしその組み合わせは、
工業製品の冷たさではなく、クラフトの温度を纏っている。
触れればわかる、職人の手が残した微細な癖。
この「完全ではない美」は、
多くのラグジュアリーブランドが追い求める“本質の豊かさ”そのものです。
ゴルフ場という非日常の空間において、
このモニュメントはひとつの “静かな贅沢” を体現しているとも言えます。
派手さではなく、
気づいた人だけが受け取る美学。
過剰さではなく、
削ぎ落とされたバランス。
建築とは、本来こうした“風景の余白を整える仕事”なのだと、
改めて感じさせられました。

私自身、建築設計と工務店の仕事を通して、
暮らしの背景となる 「美と構造の調和」 をつくり続けていきたい。
そんな想いを静かに重ねながら、
この小さなモニュメントの前で立ち止まりました。
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