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imaizumi blog

建物探訪vol.1 日進市立図書館

2025.12.07

日進市立図書館 ― 縦へ伸びる「知の塔」を訪ねて。

愛知県・日進市。


住宅地に穏やかに寄り添うこの街に、視線を奪う黄金のキューブが静かにそびえている。


日進市立図書館。設計は、美術館建築で知られる 岡田新一設計事務所。


「知」を蔵する建築が、これほどまでに力強く、彫刻的な存在感を示す例は、実は多くないように思います。

訪問者を迎えるのは、垂直に切り立つ黄金の壁。


その表面には細かい無数の粒子が散りばめられ、冬の陽光さえ宝石のように反射する。


外壁は単なる仕上げではなく、まるで知識そのものの密度を象徴しているかのようです。

そして、大きな円形の開口。


これは「本を開く瞬間」を抽象化した造形にも見え、周囲の建築群に対し、圧倒的な意味性で支配する。

特徴的なのは、斜めに傾いたボリューム。


水平基準を裏切る建築は、都市にダイナミックな緊張感を生む。


斜め壁は構造的には難易度が高いが、それを“当たり前のように成立させる”のが岡田新一事務所。


図書館という静的なプログラムに、意図的な 「緊張」と「伸び」 を与えています。

内部へ足を踏み入れると、光が描く柔らかなモデリングが迎える。


天井に穿たれた小窓から、円形の光が床へと落ちる。その様は、まるで時刻表のように時間を刻む光の装置のようです。

丸、三角、斜め。


それらの形態操作は、単なる意匠の遊びではなく、光の軌跡を制御する幾何学に他ならない。

公共建築は、しばしば低予算や機能性を優先し、個性を捨てるケースも多いが、


しかしこの図書館は、建築を楽しむ人のために設計された公共建築である。

ここは、本を読む場所である前に、


“知に触れる体験そのもの”を演出する建築ではないでしょうか。

知的好奇心をくすぐる、黄金の外装。


緊張感ある角度で切り込まれた壁。


そして、知性を照らす、静かな光の穴。

それらすべてが“体験としての建築”であり、教養と文化を持つ層に向けて開かれた提案と言えると思います。

図書館は無料で訪問できるが、


この建築体験が無料で味わえるという事実には、密かな贅沢が潜む。

住まいであれ、店舗であれ、建築はただの器ではないと思います。


**感情と知性を刺激する「時間の装置」**になり得ますし、


建築が人生を豊かにするという真理を、この図書館はさりげなく教えてくれた貴重な体験でした。

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